日芸オーディオブック「納豆黄金期」
日本大学芸術学部の文芸学科と放送学科によるコラボ作品です。
MADE IN NCHIGEI のオーディオブックを是非お楽しみください。
読み手:天希かのん(演劇学科卒業生、青二プロダクション所属) X : @_Amane_Kanon_
作者:鬼塚健剛「納豆黄金期」(文芸学科1年)
制作:冨樫拓夢、山田悠樹(放送学科1年)
監修:茅原良平(放送学科教授)、高野和彰(文芸学科専任講師)
放送学科ホームページ:https://www.art.nihon-u.ac.jp/education/department/broadcast/
文芸学科ホームページ:https://www.art.nihon-u.ac.jp/education/department/literature/
*所属、学年は2024年度時点での情報です。
以下、本作の原文を掲載しています。テキストでもご鑑賞ください。
「納豆黄金期」
納豆は神秘的である。
納豆は世の最高傑作である。
あの煌めく大豆のツヤと豆達の団結力を感じる粘り気。
一見、パックにギュッとしている豆達も、よく見ると向きや形が違い、小さいながら個性を感じる。
その個性を私は見ていると一粒ごとに伝えたいものだ。
飽きさせることのない見た目は、エンターテイメント性を、粒を一つひとつ感じる食感と、個性的な味は、まるで芸術家を想起させる。
一方で、食界の異端児と評されるほど、匂いがきついと言われるが、馬鹿を言え。
あの香りこそが納豆の最大の魅力ではないか。
人間の精神安定剤と言っても過言ではない。
鼻の奥まで匂いを広く渡らせ、肺にまで取り込んでほしい。切実に。
しかし、我々はもちろん、イエス様でさえ顔負けな神々しい納豆をより際立たせる食材がある。
みんな大好きごはん。そう、米。お米です。
お米様のお力を借りることによって、納豆を誰も太刀打ちできないものにしてしまうのだ。
どの芸人コンビより勝る相性の良さ。
M‐1では無双することだろう。
納豆ごはん‥‥。ああ、なんて心地の良い響きだろう。
「【耐久】納豆ごはんをただ、一時間つぶやいてみた」なんて言う動画があったら即、寝る前の子守唄に採用するだろう。良い夢が見られそうだ。
その他にも、納豆の活躍は料理界で幅を利かせている。
納豆汁に納豆トースト、納豆パスタまで。
国内ではその魅力を抑えきれず国外へも進出。なんと外交的なのだろうか。
見た目は古風だが、中身は海外ガール。
これは、「ギャップってくるものがあるよね〜」なんて言っている人たちも腰が抜けるほどだろう。
どんな食材でも受け入れる懐の広さと誰の個性も殺さず、いい塩梅で個性を生かす能力は、今後社会でとても重宝される。
上司にいると誰もが慕うタイプのやつ。
いやあ、好きだねえ。
納豆が存在している世に、自分もいることが、信じられないくらいだ。
ここまで、身内に納豆メーカー勤めでもいるのかと言うぐらいに納豆を語ってきたが、身内にはいない。皆、ただの一消費者でしかない。
身内にそんな素晴らしき人がいたら、幸せ極まりない生活を歩めるが、今さらジローなのでこれからも消費者として、生きていく。
では、なぜ、納豆を世界の中心で愛を叫べるくらいに愛しているのか。
それは、生まれたてホヤホヤ期に遡る。
長かった授乳を見事卒業し、いざ離乳食!人間への第一歩の時。
同年代の赤ちゃん達が離乳食にムシャついている間、私は納豆を食べていた。
周りより立ち上がるのも、ピースができるようになるのも遅かったが、納豆だけは誰よりも先に取り入れていた。
しかも、納豆に関しては親に食べさせてもらうのではなく、自分からスプーンを持ちがっついていたそうだ。
幼少期からその情熱はさすがである。
そのため、納豆は人生のソウルフードであり、あと数年で20年選手の仲になるが、今まで一度も飽きていない。
一度、一ヶ月納豆禁止月間を設けたことがあるが、あんなに苦しい一ヶ月は二度と経験したくない。
大好物を食べられないなんて、何を楽しみに生きればいいかわからないくらいひもじかった。
が、いくら大好きだからと言って、納豆全てを愛してやまないわけではない。
もちろん、基本的にどの納豆も好きだが、納豆界にはトップがいる。
トップには誰も敵わない。
そのトップとは、赤い背景におかめのあの納豆だ。
ほとんど商品名を出しているが、皆様が今、頭に思い浮かべているそれである。
「いや、どこでも手に入るやつじゃん。もっと希少なものかと思った。」
なんて思われるかもしれないが、ちょっとシャラップ。
おかめを舐めたらあかんで。
粒の大きさ、タレとカラシの旨み、全てのバランスが納豆界の最高峰である。
粒は食べやすいようにひきわりも売られているが、食感を感じられるが、主張が激しくない極小粒をお勧めする。
また、付属のタレとカラシは必ず入れたほうが良い。
醤油や白だしなどアレンジを加えても美味しい納豆の万能性はあるが、納豆ご本人が自ら内蔵している、タレとカラシはトップの納豆を理解しすぎている。
トッピングとしてはネギとの相性が抜群だ。
納豆の風味をより面白く感じさせ、ネギの味がいい刺激を与える。
納豆、タレとカラシ、そしてネギ。
この四者は年末のニューイヤーコンサートと肩を並べるくらいめでたい。
華麗なハーモニーを口の中で奏でられるのだ。
この納豆が影響で、茨城に引っ越すことを考え、株を買おうとも考え、おかめの社長に息子がいたら、ぜひとも結婚したいとまで考えた。
この最高峰クオリティの納豆が、少し外に出たら、コンビニやらスーパーやらで買える。
しかも手軽な値段でだ。
世の中に対し、特に何も思ってなかったが、捨てたもんじゃないなと思う。
なので、皆さんどうぞ、この素晴らしきおかめの納豆をご賞味あれ。
もう、毎日食卓に並んでいるよ、と言う方は、それだけで素晴らしきお方なのでどうかそのままで。
最後に、ぜひおかめのメーカーのサイトにも行ってみてください。
「わたしたちはみなさまの健やかな毎日を願っております」なんて涙なしでは見られない感動の文句が書いているので。
また、私はおかめの納豆の回し者では決してなく、ただのそこらの納豆ファンでございますので、以後お見知り置きを‥‥。
おわり